文芸サークル「名で充ちた空」ブログ

名で充ちた空

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カニューシャ第1巻08
 年上から妬まれそうな腰に黒い帯革を締めて黒地の裾の丈は黒い靴下や黒い靴も含めて慎みを定量化した生徒手帳の挿し絵そのもの。
 畳型に敷き詰められた徹底的に潔白な床材にも真新しい下衣の奥までは映らなかった。
 彼女は広間の様な船室の中心で何か言いつけられた行事の様にぴたりと立ち止まった。
 掛け視野が施していた黒い遮光が晴れた。

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テーマ:同人系 - ジャンル:小説・文学

| カニューシャ | 17:26 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第1巻07
 ほっそりした首には工具でも切断し難い合金製の救急用首輪が体温で温められていた。
 清楚な襟には生真面目にも若葉色の校章。
 着衣に変わったところは無かったが半袖に覗く隙間から細腕の血管を温くなぞる様に赤青のより対線が十枚の付け爪まで伸びている。
 小さな鈕を襟元一つ以外全て掛けた白い中衣を脱がせてしまえば露わになるのは肌着だけではないと外見からでも簡単に推測出来た。

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| カニューシャ | 22:32 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第1巻06
 微かに二重で黒目がちな上がり目を今は錠前と帯革で固定された細身の掛け視野が覆う。
 掛け視野の黒い遮光は濃く、装着者の肉眼による視認性を完全に奪う状態になっていた。
 飾り気の無い両耳に填められた聴取器の合図素子は彼女が立てる控えめな足音にも瞬く。
 色白の頬とふっくらした唇は思春期の少女らしく化粧無しでもほんのり色づいていた。

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| カニューシャ | 17:02 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第1巻05
 肩まで伸ばした黒髪は仕上がりも素晴らしく、歩みに合わせて揺れ、翠に煌めいている。
 前髪は柳眉を隠さない様に切り揃えていた。
 畳字「〃」を左右対称に1つずつ頭に画いた様な細い勾玉型の髪留めは瑪瑙に似た質感。
 右二つは赤く、左二つは青く、黒髪を祝う。

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| カニューシャ | 22:20 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第1巻04
 たった今、無言で出てきた場所が化粧室でなければ、試作機に都立校の制服を着せた女子型二足歩行人形と誤解されそうなほど機器を全身に装着して直進する端正な容姿の少女。

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| カニューシャ | 21:39 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第1巻03
 詮索だけは巧い無職や学生たちが一時間前に起きた少女一斉飛び降り事件とその飛行艇の関連を根拠を揃えて匿名で語り始めた頃。
 天井の高さと窓の大きさだけ見事で企業誘致に失敗した空き店舗の様に広い飛行艇の船室を中乃 稀美葉(なかの キミハ)は静々と歩いていた。

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| カニューシャ | 19:59 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第1巻02

 成層圏電波中継飛行艇団。
 敷き詰められた球状太陽電池の黒い煌めきと純白の気球による二色分けが首都上空を泳ぐ巨大な鯱の如き関東無線系の要たち。
 その内の一隻が環状線を挟む百貨店の商標に興味を持ちましたと言いたげな低空飛行で巡航していた。

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| カニューシャ | 20:10 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第1巻01
 七十階を完全に貫く吹き抜けを見上げれば白日に眩む正午の晴天を翳らせ観覧席を兼ねた純白の回廊から彼女達は次々と身投げした。
 会長、秘書長、侍女長、艦長、船長、院長、学長、族長、隊長、主将、委員長、班長、家長、店長、館長、園長、料理長、教官、講師、師匠らを慕って後を追う、唱えっ子、鍵っ子、御子、巫女、駄々っ子、鬼っ子、ちびっ子、メガネっ子達が披露する赤毛、山吹、濡羽色だけでなく紅玉、緑玉、碧玉、蛋白石、瑠璃を連想させる色も有るお河童、三つ編み、校則二つ結び、左右結び、小馬の尾に似た一本束ね、総なで上げ、左右対称団子まとめ、波形うねりに正統派な着こなしで勝負する女中、女給、添乗員、制服警備員、見習い看護師それぞれ五人組に見る内巻、外巻、巻き毛、直毛、猫っ毛、和風、洋風、中華風、革命前夜風、吊り目、垂れ目、褐色、色白、ウサ耳、猫耳、犬耳、クマ耳、年下、年長、元気、高飛車、ドジっ子、甘え下手、伏線専用、失恋専門、食い気優先、読書好きの組み合わせに、それならばと参入する調理実習生、各種袴っ子に、私たちは社会見学中では? と小声で、しんがりを務めたのは頬の綿布や折れた手足を固定する石膏も痛々しく、背広型の制服も肩に掛けただけの小柄な薄幸少女だった。

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| カニューシャ | 19:08 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻54
 予期していた事態だが拡大が速すぎる。
 機器管理表の進捗に伴い施設内に響く木琴
に似た警告音に早鐘が混ざり始める。
「繰り返す!
 ナカノキミハ、応答せよ!」

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| カニューシャ | 23:42 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻53
「ナカノキミハ、応答せよ!」
 柔らかく濡れた様な栗色の髪との対比が激
昂するヨツユの表情を強調する。
 刻々と拡大する破防庁大気圏監視網の異状
に応じて機能模型の夜景は燃え盛る様な光源
色で修飾されいく。

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| カニューシャ | 20:22 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻52
 その時、行列の先頭に立っていた裸眼の少
女がぎこちなげに振り返った。
「お先に失礼致します、先輩」
 愉悦を含んだ目元でルルイに笑った。

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| カニューシャ | 21:55 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻51
 指向性集音器が対象の独り言を捉える。
「胸当て、合ってない」
 ルルイは、反応しない。
 何事もなく停止位置を遵守する車両。
 車両の扉が開き。
 安全扉が開く。

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| カニューシャ | 20:50 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻50
 掛け視野の遮光も解かず安全扉の鏡像達に
も目配せは送らない。
 対象の心拍数は激しい運動でもしているか
の様な値を示している。
 発汗も止まらない様子の対象は息苦しさか
らか俯いて自らの胸に手を当てた。

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| カニューシャ | 21:47 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻49
 一番線に続きルルイ達の並ぶ二番線にも自
動運転の電車が到着する。
 内心慌てているらしい捜査員達の通信が抑
揚のある雑音としてルルイの聴取器に届く。
 彼らは契約により破防庁が割り当てた回線
以外へ勤務中切り替える事が出来ない。
 ルルイは動かない。

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| カニューシャ | 17:00 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻48
 床には非効率な待ち行列に分散を推奨する
標識が点灯しルルイを含め階段傍に拘る三人
の利用客を暗に非難する。
 ルルイの前に立っていた二人は演技として
標識に従った。
 ルルイは利己的利用客を装い、前進する。

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| カニューシャ | 22:58 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻47
 発着場を包んでいた打ち水は通り過ぎた夕
立の様に停止する。
「まもなく一番線に急行、株主優待車両、都
庁方面行きが参ります」
「まもなく二番線に各駅停車、一般車両、都
庁方面行きが参ります」
 声質の違う人工音声が発着場に響く。
 有線通信を基本とする列車制御体制は事態
を感知していない。
 一般の乗降客に戸惑う素振りは無い。
 掛け視野で目線を隠しルルイは確信した。
 破防庁が用意した無線通信だけを狙って誰
かが介入している。

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| カニューシャ | 23:17 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻46
 対象は立ったまま心拍数を速めている。
 ルルイは右手で口元を押さえて呟く。
「先輩、演習室の様子は如何ですか?」
 映像と音声を監視する手はずのヨツユに偽
装した言い回しで問い合わせる。
 しかし半二重回線からの返事は。
 無惨な雑音だった。

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| カニューシャ | 17:51 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻45
 まずルルイが異変に気づいた。
 待ち行列を装ってトソの挙動を監視する委
託私服捜査員達の最後尾に着き、打ち合わせ
通り列から半歩はみ出させた対象の汗に濡れ
た制服へ鞄に仕込んだ小型指向性集音器を向
けていた偽女子学生は平常を装いながら左耳
の聴取器を押さえた。

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| カニューシャ | 19:15 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻44
 何を食べれば失敗を避けられるのかも自力
では分からなくなった頃。
 垢擦を施され一新されたはずの身体を待合
室の長椅子に放置する様に寝そべっていたト
ソの神経系は初めて他人と繋がった。
 それを支援する聴取器からは響く声。
 --此処こそ心の園。
 --お入りなさい。

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| カニューシャ | 20:43 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻43
 苦しいのは初回だけという体験談は何故か
トソには当てはまらない様だった。
 情けない表情と心拍数を監視する寝台に寝
かされ同級生達が見守る中で嗜好や不摂生、
身体の悩みを次々と暴露されトソは保守を受
ける度に秘密と自尊心を失っていった。

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| カニューシャ | 19:44 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻42
 更新は錠剤。
 表向きには頭痛薬と表示するそれは脳に作
用する薬であるためトソはそれまでより丁寧
に生理周期を記録する様になった。
 週三回の保守は美容施設を偽装した店舗。
 肌を値踏みする様な按摩はこそばゆく、気
持ち良いはずの指圧は声を失う程に痛かった。

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| カニューシャ | 17:44 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻41
 承諾は点滴。
 冷房の効いた薄暗い漫画喫茶の個室。
 夜明けまで手を握ってくれた班長に共犯者
の絆を感じた。
 徹夜明けの朝食にお赤飯を出された時は流
石に愛想笑いも苦しかったが。
| カニューシャ | 18:52 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻40
 連れ込まれた脱衣室でトソは仲間外れの理
由を教えて貰った。
 誰も聴取器に連絡してくれなかった理由。
 一人だけ加入していなかった秘密の連絡網。
 一人だけ荷担していなかった校内の密事。
 呆然とするトソの湯冷めした丸っこい耳に
優しく吹き込まれた共有剤の利点。
 劣等生に吹き込まれた誘惑。

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| カニューシャ | 18:09 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻39
 脳は共有剤について回想する。
 試食は膠嚢。
 部屋に篭もろうとした風呂上がりのトソを
一言で凍り付かせた班長からの誘い。

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| カニューシャ | 19:01 | トラックバック:0コメント:0
カニューシャ第2巻38
 さらにトソは脳内に好きな音楽を無限再生
させ人体通信を通じて皆にそれを配信出来る
という榻摩姉妹唯一人の才能に恵まれていた。
 偶然見つかったその事実も取り柄に乏しい
トソの心を擽った。

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| カニューシャ | 23:10 | トラックバック:0コメント:0
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壱意再帰

  • Author:壱意再帰
  • 同人小説の発表だけでなく作詞も行うので「文芸」サークル。
    感想ブログも兼ねています。
    メールアドレスはndmctsr空excite.co.jp
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